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親を預ける老人ホームの選び方

親を預ける老人ホームの選び方

親を老人ホームに預ける時期がきた。施設を選ぶ上で親と家族の希望も整理できた。そして、その希望を基に老人ホームの種類を絞ることができた。その中で、あなたの住まいの近くに希望に合う老人ホームがたくさんあったとしても、最終的に親を預ける施設は1つに絞る必要があります。

実際、電話で担当者(施設長や相談員)に質問したり、パンフレットを見たりするだけで施設を選ぶことはできないため、気になる施設を見学していくことになるのですが、今回はその見学で確認すべきことや注意点をお話ししながら親を預ける老人ホームの選び方について解説いたします。

見学の日時を調整するときは早めに連絡を入れる

老人ホームは24時間365日の運営となっていますので、基本的には見学者がいつ訪れても施設の職員はいます。そのため、わざわざ見学の連絡を入れなくても「普通に対応してくれるだろう」と考えている人もいるのではないでしょうか。

その他にも、連絡を入れずに見学に行った方が「普段の様子がわかるのではないのか」と考えている人もいますが、結論から言えば、こうした見学方法はあまりお勧めできません。

なぜなら、老人ホームの多くは見学者に対応するための専属スタッフを確保していないからです。

実際、見学者に対応するのは主に施設長や相談員となりますが、こうした立場の人は施設案内以外にも様々な仕事をこなしています。たとえば、介護スタッフの勤務調整をしたり、すでに入居している方からの相談を受けたりしながら見学者の対応も行っているのです。

特に小規模な老人ホームでは、施設長なども介護スタッフの一員として入浴や食事介助をしたり、施設で行うイベント(誕生日会や敬老会など)を手伝ったりする場合もあります。したがって、突然の見学者に対応できないことがあるのです。

それに、他の見学者の予定と重なってしまい、日を改めて訪問しなければならないこともあります。

こうしたことから、老人ホームを見学するときは、訪問する施設に必ず連絡を入れるようにしましょう。

そして、そのときは施設の担当者に対応してもらえるよう早めに連絡を入れておくことが大切です。そうすることで、見学をするときに担当者から施設の特徴や入居後の注意事項などについてきちんと説明を受けることができます。

実際、ただ単に建物の外観や施設内を見て回るだけでは、親を預ける老人ホームをきちんと選ぶことはできません。

したがって、老人ホームを見学するときは施設の担当者に対応してもらえるよう早めに連絡を入れて日程を調整するようにしましょう。

老人ホームの見学で注意すべき3つのポイント

はじめての老人ホームの見学。この経験に戸惑いを感じる人も少なくありません。実際、そうした人々の心境としては、老人ホームの見学時に「どのようなことに注意する必要があるのかわからない」と思われているのではないでしょうか。

そこで、この項では老人ホームの見学で注意すべきポイントを3つご紹介します。

気軽に面会に行ける雰囲気なのか?

これは感覚的な判断基準にはなりますが、具体的に「見学の担当者(施設長や相談員)は思いやりのある人だったか?」「介護スタッフに笑顔があったか?」「施設内の雰囲気は暗くなかったか?」などを確認します。

なお、見学に行くことを事前に伝えている場合は、そのときの施設の雰囲気がベストに近い状況だと捉えても間違えありません。

とは言え、見学者がいない日は担当者や介護スタッフが手を抜いているということではありませんが、実際には入居者の家族に対する「思いやり」や「気持ちの良い挨拶」などは、普段から意識していないと実践できないことです。

したがって、こうしたことを確認して「面会に行くのが億劫になりそう」と感じたのであれば、その感覚に従って他の施設と比較しながら慎重に検討するようにしましょう。なぜなら、面会が億劫になる施設に親を預けた場合、あなた(家族)の足は次第に遠のきますし、そのような環境では親も安心して過ごせないからです。

このポイントについては、電話で問い合わせたり、施設のパンフレットを見たりするだけでは確認できないことなので、必ず実践するようにしましょう。

退去となる基準を確認する

老人ホームの各施設には入居対象となる人の基準などがありますが、それ以外に退去となる基準もあります。どちらも見学時にきちんと確認すべきではありますが、意識しておかないと確認することを忘れるのが「退去となる基準」です。

まず、「入居対象となる人の基準」については、見学の担当者があなたの親の心身の状況を確認してくれますので、それほど意識しておく必要はありません。

その一方で、「退去となる基準」については施設によって、見学時にきちんと説明してくれない場合がありますので、そのときは家族の方から質問するようにしましょう。

たとえば、加齢による嚥下機能の低下で口からご飯を食べることができなくなった。もしくは、認知症の症状の悪化で他の入居者との共同生活に支障をきたすようになった。

こうしたときに、具体的に「どのような状態になるまで施設は対応してくれるのか?」、また対応してくれたとしても「新たな費用が発生するのか?」などについて、きちんと確認しておくことをお勧めします。

実際、親を老人ホームに預ければ「もうこれで安心」と思われている人もいますが、必ずしも老人ホームが終の棲家となるわけではありません。

また、親が施設の退去となる基準に達してしまったときは、その後に入居できる老人ホームの選択肢が限られてくるため、転居先を探すのに苦労するケースが多いです。

こうしたことから、施設を見学したときは、「どのような状態になるまで看てくれるのか」について、しっかり確認するようにしましょう。

すべての要望を満たせる老人ホームはない?

ここでは、わかりやすくお伝えするために「すべての要望は満たせない」と表現しましたが、決してあなたをガッカリさせるためにお話しするわけではありません。

むしろ、老人ホーム選びで納得のいく結果に導くためのポイントであると捉えていただければ幸いです。

実際に、なぜこのようなことを話すのかというと、老人ホームを探している人の中には何十軒も施設を見学しているにもかかわらず、「希望に合う施設が見つからない」と悩み続ける人がいるからです。

その中で「1人では探せない」と思って、当相談窓口に相談されるのですが、相談者に施設を選べない理由を尋ねると「親の年金では施設の利用料が払えない」「デイサービスを利用することができない」「施設の雰囲気が暗い」といった答えが返ってきます。

また希望に合う施設が見つかったとしても、空き部屋がないために親を預けることができない場合もあります。こうしてなかなか決断できずに悩み続けてしまうのです。

このような問題を解消するためには、
「ひと月にかけられる予算」「施設での過ごし方」「交通の便」「入居時期」といった希望にそれぞれ優先順位をつけることが大切です。

そうすることで、「ひと月の利用料を抑えるために低料金の施設の空き部屋が出るのを半年間待ってみる」「手厚い介護を受けるためにデイサービスの利用はあきらめる」といった判断ができますので、その後は迷いなく老人ホームを選ぶことができるでしょう。